2020年度 活動計画(案)


1.学童保育の「従うべき基準」を堅持することを求める運動

 2020年2月からの新型コロナウイルス感染拡大に伴い、約3ヶ月にわたって小中学校等の休校が行われ、政府や市町村からは学童保育(放課後児童クラブ)の開所が強く要請されました。これに対し、多くの学童保育(放課後児童クラブ)では開所を余儀なくされ、突然の長時間保育や感染拡大防止対策に追われた結果、現場は疲労困憊の状況になりました。支援員不足を口実とした規制緩和として「従うべき基準」の参酌化が如何に現実を無視した策であることが、今回の新型コロナウイルス感染拡大での学童保育(放課後児童クラブ)への開所要請で明らかになりました。熊本県学童保育連絡協議会は、この間の経験を基に、「従うべき基準」の復活を強く求めていきます。

 

2.新型コロナウイルス感染拡大防止のための学童保育(放課後児童クラブ)の財政支援の強化と施設整備の拡充

 6月から多くの学校が再開され、学童保育(放課後児童クラブ)も通常の保育が始まっています。しかしながら、すでに指摘されているように、多くの学童保育(放課後児童クラブ)は人数も多く、子どもたち同士、子どもたちと支援員が「濃厚接触」しているのが現状です。さらに学童保育(放課後児童クラブ)の現場では子どもたちの健康観察、感染予防のための消毒作業など支援員の業務が飛躍的に増えています。国も「新しい生活様式」を提唱していますが、学童保育(放課後児童クラブ)でも「新しい生活様式」を取り入れるとするならば、さらなる財政支援と施設整備の拡充が必要です。財政支援と施設整備の拡充について国・県・市町村にもとめていきます。

 

3.熊本県の「補助方針」の実現に向けた市町村への働きかけ

 熊本県学童保育連絡協議会は、毎年秋の県知事への要望で「国基準の補助金交付」を求めてきましたが、昨年度から国基準の補助金の交付が実現することとなりました。その内容は別紙の通り、「受入人数に応じた助成率の導入を実施するもので、国基準の70%を補助ベースとし、長時間開所、小6までの受け入れ対象拡大、長期休暇開所に取り組むクラブに対しそれぞれ10%ずつ加算する仕組みになり、この3つを取り組めば、国の基準通りの補助金が交付される」ものです。

 この「補助方針」を実現するには運営主体である市町村の予算付けが必要です。「長時間開所、小6までの受入対象拡大、長期休暇開所」の実現は保護者も強く望んでおり、熊本市をはじめとする市町村への働きかけが重要です。

 依然として県の「補助方針」に従っていない市町村がありますので、引き続き市町村への働きかけを行います。

 

4.「放課後児童支援員処遇改善等事業」「放課後児童支援員キャリアアップ処遇改善事業」への取り組みに向けての市町村への働きかけ

 子ども・子育て支援新支援制度の施行とともに「放課後児童支援員処遇改善等事業」が始まり、その後「放課後児童支援員キャリアアップ処遇改善事業」も始まっていますが、全国的にこれらの処遇改善事業への取り組みが進んでおらず、熊本県でも41市町村で両事業を取り組んでいるのはそれぞれ13から14自治体しかありません。

 そこで各市町村に「放課後児童支援員処遇改善事業」「放課後児童支援員キャリアアップ処遇改善事業」への取り組みに向けての働きかけを行い、支援員の処遇改善に取り組みます。なお、熊本県は資質向上研修を行い、受講者に受講証明書を発行しています。

 

5.放課後児童支援員認定資格研修への協力と指導員学校九州・熊本会場、研修会の実施

 2015年度から熊本県主催で放課後児童支援員認定資格研修(以下、認定資格研修)が

実施され、昨年度からは熊本市主催でも行われました。今年度は熊本県、熊本市とも認定資格研修は予定していますが、新型コロナウイルス感染拡大で、開催のめどは立っていません。今年10月の山形県での第55回全国学童保育研究集会も中止となり、9月13日に熊本学園大学で予定されていた第55回全国学童保育指導員学校九州・熊本会場も中止となりました。(6月14日春日市で開催予定だった同福岡会場も中止です。)

 また、2021年2月に予定しています第20回熊本県学童保育研修会も10月まで開催についての結論を先延ばしにしています。

 いずれにしても新支援制度で謳われている「子どもたちの発達段階に応じた主体的な遊びや生活が可能になる」(放課後健全育成事業の設備および運営に関する基準第5条)という

子どもたちへの「育成支援」を行う支援員、保護者、運営者、市町村職員の育成が急務であり、認定資格研修への協力、指導員学校や研修会の実施を新型コロナウイルス感染の状況を

みながら取り組んでいきます。

 

6.組織体制・・・役員体制と事務局体制の強化

 現在、2016年7月から一般社団法人学童クラブこうしと事務局を共有し、事務職員を

配置して事務処理を行っています。安定した事務局体制を構築し、県内各地の学童保育(放課後児童クラブ)から問い合わせや相談業務を強化しています。

とりわけ新型コロナウイルス感染拡大での小中学校等の休校に伴う学童保育の開所要請以降、マスコミを含め多くの問い合わせや相談があり、迅速に対応してきました。

現在、熊本県学童保育連絡協議会は熊本県・熊本市の認定資格研修や指導員学校・研修会の準備、市町村への働きかけなど積極的に行っています。

今年度も役員の増員を図り、全体会議への地域役員の参加を基本とし、県内各地の学童保育(放課後児童クラブ)との情報共有を図り、ネットワークを強化します。

さらに、熊本県学童保育連絡協議会のホームページを活用し、引き続きホームページの定着を図り、情報発信の強化も行っていきます。

 

7. 「日本の学童ほいく」誌の拡大・・・毎日が「研修会」です。

 

 月刊誌「日本の学童ほいく」誌(以下、「ほいく」誌)は、保護者、支援員、運営者を結ぶ大切な絆です。その絆である「ほいく」誌がこの新型コロナウイルス感染拡大で大幅な減部を余儀なくされています。全国的には学童保育の支援単位数は、大幅に増えていっているにもかかわらず、4万部(現状は3万2千部)を切る状態になっており、全国学童保育連絡協議会の財政は大幅な赤字で組織的にも危機的な状況です。

 熊本県での購読部数は6月号で229部(月単位)です。今年度は何としても目標を300部(月単位)として、引き続き購読の拡大を進めていきます。

 特に運営に関わる保護者、支援員、運営者のすべての購読を実現していきます。

研修会などが開けない現状では、一人でも多くの保護者、支援員に読んでいただき、毎日を「研修会」にしていただければと 思っています。

(「ほいく」誌の購読では、発行元の全国学童保育連絡協議会から還元金があり、この還元金を熊本県学童保育連絡協議会の運営資金に充てることができます。)

 

8. 熊本地震学童保育募金の活用

 昨年度に募金活動が終了した熊本地震学童保育募金の活用を進めていきます。具体的には

被災地の専用施設への備品の支援や「心のケアのための遊びのプログラム」を実施します。

募金の活用状況については県連協の「事務局通信」「ほいく」誌で報告を行います。

なお、益城町の各学童保育(放課後児童クラブ)から17,323円、第19回研修会では27,784円、さらに山鹿市学童保育ネットワークから113,662円を「2019台風15号・19号災害学童保育支援募金」にいただきました。全額全国学童保育連絡協議会に送金しました。心からお礼を申し上げます。